豪ドル/円相場は、7月25日の79.53円をボトムに、足元では82円水準まで切り返す展開になっている。スペイン債務問題を巡る混乱状況に対して、欧州当局者の政策対応が進んでいることが好感されている。8月2日に欧州中央銀行(ECB)理事会を控える中、政策対応を促す形でリスクマーケット全体が地合を引き締めており、その流れが豪ドル相場にも波及した形になっている。豪経済に関して特に決め手となる材料が見当たらない中、リスクオンで豪ドル買い、リスクオフで豪ドル売りという単純な相関関係が実現している。
ECBのドラギ総裁が債務問題に「あらゆる措置を講じる」と政策対応を進める意向を示したことが、豪ドル市場でも好感されている。マーケットでは、ECBや欧州金融安定基金(EFSF)による重債務国の国債購入に対する期待感が強くなっており、リスク回避の流れが巻き戻されている。これは豪ドルも例外ではなく、欧州不安で売られ、その後の政策対応期待で買い戻されるという、これまで幾度となく見られたパターンが再現している。引き続き、欧州債務問題そのものがクローズアップされれば豪ドルは売られ、政策対応(期待)が注目されれば豪ドルは買われる展開を想定している。ただ、ドイツの反対で大規模な政策対応は難しく、目先は豪ドルの下振れリスクが大きいとみている。
7月25日に4~6月期の豪消費者物価指数(CPI)は、前期比+0.5%となった。前年同期比では+2.0%であり、概ね市場予測通りの結果になっている。引き続き豪国内の物価圧力が緩和されていることが確認でき、特に追加利下げの障害になるような数値ではない。ただ、今月の政策会合では豪経済の回復に強い自信が示されていることもあり、追加利下げシナリオを織り込むような動きは見られない。5月と6月に実施した利下げ効果を見極めるスタンスが維持される可能性が高く、豪金融政策環境を材料視するのは難しい状態にある。
今後1週間の予想レンジは、80.75~83.00円。